算数の基本は家庭から
小学校への話が出たとき、1番気になるのはお勉強のことです。
特に、私自身も頭の痛い経験がたくさんありますが、算数についてはちょっと神経質になりがちです。 今は幼稚園ですから、お勉強のことはそれほど神経質になっていないと思いますが、小学校を意識し、習い事の中にお勉強バージョンを取り入れているご家庭があるかもしれません。
実は、算数の基礎は家庭の中にあることをご存知ですか?
幼稚園では、年少から年長までの数との出会いを大切に考えています。
子どもに数だけを教えることは簡単なことです。
1から10 そして、20・30と数を唱えることは簡単に覚えていきます。
特にお風呂の中で数を唱えて、お風呂から上がることは、各ご家庭でなさっていることと思います。数を唱えることは子どもにとっての数との出会いです。
しかし、数を口で唱えても、数の意味を理解しているのかわからないのが幼児です。
例えば、家庭の中で「あめ 一個とって」という会話があるでしょう。
「そのあめとって」という言い方もあります。
「あめ 1個とって」これは子どもにとって数との出会いです。
しかし、子どもは1個と1本の違いが理解できません。
つまり単位がつくと、子どもは分からなくなってしまいます。
(年長くらいになると理解できますが・・・・・・)
家庭の会話の中で、単位をつけないで「ひとつとって!」「それとって!」「あれとって!」
というような言い方で、子どもと会話をしていないでしょうか。
単位をつけるよりも、「それ」とか「あれ」とかというような言い方のほうが、子どもに伝えやすいので、自然に抽象的な言い方で子どもと会話をしているのだと思います。
子どもに数の本当の意味を理解させるには時間がかかります。
子どもが数と出会う場面を重ねていくうちに「どうやら 単位というものがあるらしい」と意識の中に定着していきます。
1という数がどんなものなのか。 2という数がどんなものなのか。
この意味を子どもが生活の中で経験して「1のかたまり」とか「2のかたまり」とか「3のかたまり」の意味が理解でき、単位があることに気がつきます。
つまり、子どもとの会話の中で、数を取り入れ、自然に単位を取り入れてくださると、
子ども自身が自然に数の概念(数のかたまりの意味)を頭の中に定着させてくれます。
また、「長い 短い」「重い 軽い」「遠い 近い」「多い 少ない」など 抽象的な表現も、子どもは生活の中から理解していきます。
大人にとっては、当たり前な感覚ですから、あえて大人が口にだして表現しなくても必要性を感じないですが、子どもは何度も、「見て、聴いて、体験して」抽象的な感覚を身につけていきます。 聴かないと頭の中に入らないのが子どもです。聴かない言葉は子どもの知らない言葉になります。
兄・姉または家族が多い家庭では、言葉を交わすのに、具体的に表現する場面が多いので、家族の会話を何気に聞き、子どもは理解を深めていきますから、特に気にしなくても、子どもは把握しやすく理解が深まっています。
算数の基本が「家庭の日常生活の中にある」ことがお分かりいただけると思います。
数のかたまりの意味や抽象的な言葉が理解できるようになってくると、+や-の意味が理解できるようになっていきます。
少し気をつけて日常生活での言葉を具体的に使って下さると、子どもの意識が少しずつ変わってきます。数を公式で覚えるより、数の意味が理解でき小学校へ進んでいったほうが、算数の意味が理解できるので、子ども自身の戸惑いが少なくなっていきます。
今回のゆりかごでは数について触れました。
子どもにとって数は言葉です。文章表現の一つですから、数を教えようと気張らずに
会話をするときは、具体的に子どもに伝えてくださるといいですね。
それだけで算数の基礎に触れていくことになりますから。
言葉・(数)を知り→おしゃべり上手になり→単位をしり→
→たす・ひくを知り→掛け算をしり→割り算へ
今はあわてないで子どもの言葉やおしゃべりに耳を傾け、会話を楽しんでくださいね。
家庭の中の会話は、子どもたちに大きな知恵の輪を広げてくれますよ。
冬休み中は、家庭で過ごすことが多いので少しだけ頭の隅に「子どもとの会話」をおいて会話をしてみて下さい。