心の汗と体の汗 (年少)
もうすぐ3月がやってきます。1年の速さに驚くとともに、子どもたちの成長にも驚いているこの頃です。
年少組の子どもたちは、すくすくと成長しています。
自分のことが自分でできるように、困ったときは助けてくれる言葉を覚え、クラスメイトとの関わりの中でたくさんの初めての経験をしてきました。
今、冬の身支度は大変です。子どもにとっては、手間がかかり、子どもの根気を必要とします。年少の子どもが「ぐっと根気強く」には心の落ち着きが必要です。
現在の年少組では、どの子どもたちも冬の身支度、特に長靴についている足カバーは難しい支度ですが、とても上手に、イライラしないで落ちつて行っています。家庭ではすっとママがしてくれることですが、幼稚園ではしっかりと自分でできている子どもたちに、私は「じょうずだねぇ!」「こんきづよいねぇ!」とほめる役をもらっています。各担任は根気強くこどもたちに声掛けをしてくれた結果がしっかり出ています。
年少でこの根気強さを身に着けていることはとてもうれしいことです。
さて、話はかわりますが、子どもを育てて行くとき、大切にしなければならないことがあります。
それは、友達の中でもまれながら「楽しい経験」と「心に汗をかく経験」と「体に汗をかく経験」をたくさんさせることです。
これらの経験は親にはしてあげられず、友達の中でしか経験できない大切な体験です。
「楽しい経験や嬉しい経験」は幼児の心の成長にとても重要です。子どもの脳の細胞が活性化され、大いなる意欲の芽を積極的に育てることに貢献します。
それと反対に「心に汗をかく」経験は子どもの心に強さを育て、辛抱強さを育て、そして、優しさを育ててくれます。
では、「心に汗をかく経験」とはどんなことでしょう!!
それは、「友達との生活の中で、悲しくなったり、困ったり、あわてたりすること!!」
これが「心に汗をかくこと」にあたります。
親心としては、心のどこかで、わが子の心に汗をかく経験はできればして欲しくない! 避けて通って欲しい!!と考えるでしょう。
それは、母親自身の経験から「心に汗をかく経験」が辛いことと知っているからです。 でもお母さん!! 辛い経験を沢山してきたから今母親としての優しさがあることに気づいていますか?
心に汗をかく経験から、子ども自身が学習する事がたくさんあります。
現代の子ども達は人と摩擦することを避けて育てられる傾向にあります。
それは、親自身がわずらわしいことから避けるためトラブルの接点を持たせない傾向にあるので、「心に汗をかく経験」から遠くなりつつあります。
しかし、子どもが育っていくとき、小さいうちに「心の汗」をたくさん経験することは重要なことで、子ども自身の中に適応できる力がついてきます。
でも、それは、その子の周りに見届け、見守ってくれる大人がいる条件の中では「心の汗」が子どもの有効な力となり身についていきます。
心の汗は小さいうちに多く経験することが必要です。
「体に汗をかく経験」はご想像されている通り、友達と一緒に体を動かし心地よい汗を流し、元気な体を作っていくことです。
激しい運動でなくとも、散歩をしたり、鬼ごっこをしたり、運動遊びをしたりしながら体の代謝をよくすることが子どもの体には大切です。
子ども自身は意識の中にありませんが、小さければ小さいほど体を良く動かします。よく遊び、よく食べて、よく寝る。そして、笑って怒って、心の底から大泣きして元気に大きくなることが健康的な子ども像です。
悩める子どもたちが多くなってくる中で、子どもを強くたくましく育てていかなければならない時代です。親自身が過保護的な考えが強ければ、子どもは弱くなってしまいます。 多少のことではへこたれない子どもに育てていくためには、「心の汗と体の汗・楽しい嬉しい経験」は幼児期の大切なキーワードです。
親にとって手のかからない子どもは理想的ですが、子どもが育って20歳になるまでの中で必ず通る道があります。 いやな思いも経験しなければならないことを、親としてしっかり認識しておきましょう。子どものつまずきからくる親としての戸惑いは、親になれば経験しなければならない親の心の練習です。
つまずくことがあるのなら、幼稚園時代に大いにつまずかせてください。
一度つまずいて立ち上がった子どもは強くなります。そして、親自身も強くなります。わが子のつまずきにびくびくせず、わが子と他の子を比べないこと。
つまずきの時がきたら「親子でお勉強する時期が来た」と思ってください。
そこから学んだことは将来へ向けて親子の宝になるでしょう。
子どもの心の汗は大歓迎。 親の心の汗も大歓迎!!
あわてないでゆっくりいきましょう。 子どもが育つには時間がかかるものです。
3歳の時 4歳の時 5歳の時、それぞれ心に汗をかく場面が変わってきます。
沢山の経験が子どもを強くたくましく育ててくれます。
子どもの成長は皆違います。 親としての育て方も皆違います。同じはずがありません。 あわてないで母親としての心のトレーニングをしてください。
子育ては目に見えないものですから、不安感から同調してくれる友を求めたくなりがちです。でも、わが子にとっての母親は一人です。人の言葉に振り回されない親としての気持ち作りをしてください。これは母親としての心の汗かもしれませんね。
子育ての目標は20歳です。今ではありません。